女性が逞しく生きる

小説「女性が逞しく生きる」
 
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小説「女性が逞しく生きる」
第1章 安定した生活と不安
安定した生活
将来への不安
美奈子の居場所がない
第2章 新たな挑戦
※ <>は、掲載日です。
第1章 安定した生活と不安
安定した生活
極端な話かもしれませんが、今日では、食費や住居費の心配がなければ、働かなくても生きていける時代です。
その働かない人の多くは、親などと同居している単身者です。

家事などを手伝い、親からお小遣いをいただける状況では、外で働く必要はないのです。
そのような人のほとんどは、スマホなどの通信費も親などが負担しているようです。

この親などと同居して、働かなくても生きていける人は、多くは引きこもりの子供です。
以前で言えば、花嫁修業中の女性も含まれるかもしれません。

非難されるかもしれませんが、専業主婦は、働かなくても生きていける人に含んでも良いと思います。
家事をしていますが、夫の経済力の傘の下で生きていけるからです。

親などと同居している人は、特別に買いたいものがあっても、親などからお小遣いをいただけないときもあります。
そのようなときは、少しだけ働いて、お小遣い程度は稼げることができ、自由い行動をし、ある程度自由に買い物をすることができます。

時給が1,000円程度であれば・・・
1ヶ月に10時間程度の労働をすれば、得られる賃金は、10,000円程度になります。
ですが、食費や住居費、その他光熱費、通信費のなどの支出が無く、10,000円ほどの収入があれば、贅沢な生活は無理としても、支障なく生活をすることができます。

通常であれば、この先の不安がありますが、親などの存在が不安を和らげてくれます。
緊急の出費が必要であれば、親などに頼ることも考えられるからです。
これは、引きこもりに多いパターンです。

私、美奈子は、今までは夫の稼ぎだけで生活をし、家事に専念して子供二人を育ててきました。
その子供が手離れして、子供たちに手がかからなくなって、ようやく気楽な生活ができるようになっています。

夫は、安定した職場で役職者になり、収入が増え、我が家では適度に貯蓄ができるようになっています。
ですから、私は、家事に専念して、外に働きに出なくても経済的には支障が無いわけです。
夫を支え続けていればいいわけです。

考えてみれば、引きこもりの単身者と大きくは違っていないことになります。
収入は無くても、安定した生活をしていることになります。

<241204>
将来への不安
とは言え、最近、家事に遷延していることの退屈さと不安が私に襲ってくるようになりました。
昨今では、知られている大きな会社でも、業績が良くなければ、従業員を捨ててしまう時代です。
そのようなニュースを聞くと、不安がさらに高まってしまいます。

夫が会社に捨てられっることは不安ですが、私のとっては、それ以上に不安なことがあります。
不安は、自分に対してです。

『価値がない自分のまま、一生を終えたくない!』
これが私の願いであり、不安です。

ご近所の主婦仲間は、ほとんどが外で働いています。
外で働いていることの理由は、それぞれのようです。

『家計の足しに!』
『住宅ローンを早く返済したい!』

『子供の教育費に!』
『旅行の資金に!』

『子供を保育園に預けるため!』
『自分が自由に使うために!』などです。

中には『気分転換に!』とか、主婦同士の『情報交換に!』と言う人もいます。
最近では、詳細はわかりませんが、投資のための資金を稼いでいる人もいるようです。

『私、このままでいいのかしら?』
『専業主婦のままでいいのかしら?』

これは、私の正直な今の気持ちです。

外で働いていない私は、主婦仲間の会話に入ることができないときがあります。
仲間に入れないことを嘆いているのでは、ありません。

話題が、あまりにも違っていることを嘆いているのです。
そのため、さらに不安になっています。

結果、主婦仲間と顔を合わせることも苦痛になっていました。

我が家は、すでに二人だけの生活になっていますが、夫婦間の会話は多くありません。
会話がほとんどないと言っても、大袈裟なことではありません。

子供が手離れして、夫婦での共通の話題が減ってきていることもあります。
夫中心の我が家でしたから、もともと会話が少ない家庭と思います。

子供たちとは、よく話をしましたが・・・
世間で、熟年離婚が多い理由が、何となくわかるような気がします。

夫は、私が不安を抱いていることなど眼中にありません。
夫は、「経済的には全く問題がなく、それなりに生活できているのだから・・・」と言います。

そのような夫ですから・・・
『経済がすべて!』と言っている人たちと似ています。

夫は、私の不安が、経済的なことだけではないことに気が付いてくれません。
気が付くことを避けているようにも感じます。

『経済がすべて!』なのです。

私が、少しでも不安を訴えようとすると・・・
私が外で働くことは、夫の働きを否定しているように見られてしまうわけです。

「僕の稼ぎでは、足りないと言うの?」です。

ですから、外で働くことを夫に言えないのです。
モヤモヤしながら、すでに数年が経っています。

<241205>
美奈子の居場所がない
私は、働くことが嫌ではありません。
私は、結婚をするまでは、安定した生活を求めて、一生懸命働いていました。


<続く>
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