| 小説・パートから経営者 |
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| 第3節 |
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住宅展示場のパート |
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「あなたは、大丈夫!
若い時期に悩みがあるということは、真剣に自分や自分の将来を考えている証拠です!
悩みがあることを隠して、惰性で生きていることのほうが怖いことです。
悩みを私に言っただけで、少し心が軽くなったでしょ!
そうしたらそこがスタートです。心を軽くして、身体も軽くなれば、走りやすくなります。
楽しく、軽快に走ることができるようになります。」
「えっ!そうなのですね!」
「多様性の時代です。
画一的で、過去の常識的な考えから少し離れて、自分を見つめなおしてみましょうよ!
そして、今の社会、特に企業社会に自分を合わせようとすれば、当然、嚙み合いませんよね!
それは当然なことです。
あなたは、昨日まで、消費する側にいました。
『何を買おうか!』『何を食べようか!』『何をして遊ぼうか!』『どこに行こうか!』
これらは、みんな消費者としての考えであり、行動ですよね。
反対側の論理で物事を考える機会がなかったのですから、突然社会に飛び出して、企業社会と嚙み合わないのは当然です。
実は、企業社会と噛み合わないことを知ったあなたは、今後が楽しみだと思っています。」
「そうなのですね!」
「これからは、現実を、裏側からも見るようにします。
すべての物事を表から見て、同時に裏からも見るのです。すると、いろいろな疑問が浮かび上がってきます。
あなたの沖縄のお話を聞きましたけど、すでに一部は裏側から見ていますよね!
なぜ、沖縄県が、継続的に都道府県別の時給が最下位なのか、観光客が増えているのに沖縄の人たちが潤っていないのか、なぜ女性社長が沖縄に多いのか、などです。
問題点や本土との違いが、いろいろ表面化しているじゃないですか。
あなたが疑問に思っていることは、どこかに不合理な部分が存在していて、そこには解決して欲しいという願望があります。需要があるということです。」
「はい!」
「年金や出産、子育てのことも、そうです。
年金は確実に支給しているのに、なぜ、子育て世代には、効果的な施策が実行できないのか、です。
現在、65才以上の高齢者の6割以上は、経済的に余裕があります。
でも、若者の多くは、働いているにもかかわらず貧困状態です。そして、お金が無くて結婚できない若者が大勢います。おかしいですよね!
あなたは、そのようなことも、すでに気にしているじゃないですか。
私に言わせれば、あなたは、あんたと同じころの私をはるかに超えています。」
「そうなのですか!」
「実は、私も、正社員を放棄して、2ヶ月間ほどで会社を辞めました。
私の場合も、就活で入社した会社では、セクハラ、パワハラらしきものはありました。でも、抵抗できないことがわかっていましたので、気にしないようにしていました。
そして、私は、住宅展示場の案内係のパートに採用していただきました。パートでは、最低限、『生きていければ、いい!』程度の収入があればと、考えていました。
私が会社を辞めてパート勤めをした理由は、考える時間を確保したかったからです。
企業からの理不尽な拘束から逃れる方法を見つけたかったのです。
結果的には、あなたの今の心境と似ています。」
「そうなのですね!」
「私は、100才まで生きるかわかりません。でも、人生100年時代と言われています。
そのように考えると、残りがまだ4分の3あります。約75年です。それで、その75年間を充実させるためには、約20年間に学んだ知識や体験だけでは、答えを導き出せなかったのです。それで、疲れない範囲で仕事をして、自分の人生のロードマップを考えようとしたのです。」
「はい!」
「幸い、住宅展示場の案内係のパートのお仕事が、いろいろな経験になりました。
案内係として簡単な説明をしてから営業マンに引き継ぐのですが、お客様と対面して会話できることがとても新鮮で、楽しかったです。
お客様は、家を建てようとしている人たちですから、相応に余裕があります。そのような人たちと話ができることが嬉しかったです。
案内係は、もともとは、営業マンの補助的な仕事なのですけど、私が案内させていただいたお客様の成約率が高かったようで、お客様と会話する時間が徐々に長くなっていきました。営業マンが私に説明を任せてくれるようになったのです。」
「そうなのですね!」
「今思えば、笑ってしまいますが、旦那様には、夫婦円満のお話をし、奥様には、女性の自立のお話をするようになっていました。
新居で家族全員が楽しい時間を過ごせるように、です。
ところが、ときどき奥様が、旦那様に内緒で、住宅展示場の私に会いに来てくれるようになりました。
と言うのは、実際には、子育てが終わった主婦の多くがセックスレスに悩んでいたのです。
経済的には余裕があっても、精神的には満たされていなかったのです。」
「そのようなことまで、話されるのですね!」
「それで、多くの家庭が、夫婦仲が良く見えても、古い体質の夫婦関係だったのです。
『男尊女卑』は、すでに昔の言葉だと思っていたのですが、現在も確実に引き継がれています。
夫が主導権を持ち、妻は、多くを我慢し、従っています。ときどき妻が意見を言うのですが、最後のひと言は、発しないで我慢をします。夫婦関係を継続するためには、従順と忍耐が必要だからです。
それで、いつの間にか、奥様の、そのような悩みや相談をお聞きするようになりました。」
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住まいを学ぶ |
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「私は、住宅展示場の案内係としてお仕事をさせていただいていました。パートですが・・・。
特に、当社の展示場に来ていただいているお客様は、3千万円、5千万円と言うとても高額な買い物をしていただいています。場合によっては、それ以上の買い物です。
その住宅展示場で、例えば、お客様から『分譲住宅って、何?』と質問をされたとき、答えられなかったら恥ずかしいですよね!
あまりにも無知な人間がお客様対応をしていたら、恥ずかしいというより、間違った応答をすれば、ちょっとした地震でも建物が歪み、雨漏りがしてしまう住宅を連想されてしまいそうです。
お客様としては、住宅だけでなく、会社全体を安心できなくなり、信頼できなくなってしまいます。
住宅展示場の案内係は、お客様と接している時間はわずかですが、お客様と最初に対面します。第一印象は大切ですよね!それで、一般的に質問されることについては、知っていないとまずいわけです。
私は、住宅展示場の先輩から説明を受けて、仕事の流れを確認しました。」
「はい!」
「そうそう、あなたは、まだ時間があるの?
私の話を、長い時間、聞いていても大丈夫なの?」
「今日は仕事が終わりましたので、3時間でも、4時間でも大丈夫です。
お話になっていることは、勉強になることばかりです。とても新鮮に聞かせていただいています。
でも、長く話をしていると、お疲れになりますよね!」
「大丈夫です!真剣に聞いていただける人が目の前にいれば、気持ち良く話をすることができます。特に、あなたのように、目を輝かせて聞いていただけるのであれば、嬉しくなってしまいます。」
「ありがとうございます!」
「私は、住宅展示場の案内係の仕事をさせていただくことになりましたが、1ヶ月間は、見習い期間で、お客様と接することはありませんでした。
先輩の振る舞いやお客様対応を見て、雰囲気を学ぶように、展示場の所長から言われていたのです。
それで、、私は自社のパンフレットを集め、さらに、本屋さんに行き、住宅に関する本を6冊買ってきて、勉強をすることにしました。その中には、有名な建築家の先生が書いた『住居論』もありました。
技術的なことは、一級建築士の店長などの技術者にお任せして、お客様に質問されそうなことを勉強しました。
さらに、『住宅とは何か?』『住まいとは何か?』を徹底的に考えることにしました。
約1ヶ月が経過するころになって、私たち人間にとっての『住まいの価値』を何となくイメージできるようになりました。」
「はい!」
「分譲住宅や注文住宅の違いも明確に説明できるようになりました。
分譲住宅は、前もって造った住宅に人間を当てはめるための器です。でも、注文住宅は、人間の生き様の現在や将来を反映させて形にした器なのです。
分譲住宅と注文住宅は、同じ住宅と呼んでいますが、まったく意味や価値が異なった住宅なのです。
分譲住宅は、多くは、業種的には、不動産業者の仕事になります。注文住宅は、住宅メーカーの仕事です。
中には、分譲住宅を建てる不動産業者ですが、住宅展示場に出店している業者もいます。
ですから、分譲住宅業者なのか、注文住宅業者なのかは、名前だけではわかりません。そして、住宅展示場に出展しているからと言って、注文住宅業者とは言えません。
住宅展示場に出展してとかくイメージが良い注文住宅を装って商売をしていると思うと、理解しやすいです。」
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